遮熱対策の事例集

暑さの原因にフタをしよう ・・・原因に適した対策を!

原因がわかれば、涼しくするための対策は簡単…と期待したいところですが、実は結構難しかったりします。
これまで取り組んできた具体的な事例で考えてみましょう。
コチラでは、実際に私たちiPASTが取り組んできた、いくつかの事例をご紹介致します。

【第一の事例】

 第一の事例として、日射で窓ガラスが熱く火照ってしまっていた事例を紹介します。

 この窓ガラスはいわゆるLow-E複層ガラスで、外側のLow-Eガラスが日射を吸収してしまい、熱く火照ってしまっている様でした。本来ならば、外側ガラスが熱くならない様に対策をしたいところですが、高層ビルのため外から工事をしようとすると、作業のために高額な足場費用が負担になってしまいます。

 そこで発想を転換して、内側の透明ガラスに遠赤外線まで反射する特別なフィルムを貼り付けることで、火照った外側のガラスから放射された輻射熱を、室内に入る手前で反射させてみました。

 その結果、外側のガラスは変わらず火照っているにも関わらず、その輻射熱が室内に入ってくるのを抑制することができる様になりました。

【第二の事例】

 第二の事例として、窓から差し込んだ日射が窓周辺、例えばカーペットや窓際の人を熱くしている事例を紹介します。

 濃色のケーシングが差し込んだ日射の影響で熱く火照ってしまっていますが、窓ガラスに高性能日射調整フィルムを施工することで、採光はそのままに、ケーシングの温度上昇を大きく抑制する事ができる様になりました。

 ガラスに日射調整処理を行うと通常ガラス自体の温度は高くなります。熱割れするリスクが増加しますので事前に専門家にご相談ください。

【第三の事例】

 第三の事例として、次は日射以外の熱が原因となっている事例をご紹介します。これは某工場の生産設備のアクリル間仕切りから、熱が漏れ出している事例です。

 空気の流れが遮断されているので、断熱されていると思いきや、高温になった設備から輻射熱が放射され、アクリル板を通過して通行者が暑く感じる状況でした。そこで、透明性が不要なパネルには遮熱シートを、透明性が必要なパネルには、遠赤外線まで反射できる特別なフィルムを貼り付けることで、アクリルを通過する輻射熱を反射して、涼しくすることができる様になりました。

【第四の事例】

 第四の事例は、同じく工場内に張り巡らされている蒸気配管が熱い事例です。

 100℃以上の高温蒸気が流れる配管には、断熱材が厳重に取り付けられていましたが、断熱材は、熱の流れを遅くするだけで、熱が流れなくなるわけではありません。断熱材表面にまで流れてきた熱が、空気と輻射熱の放射で冷やされて、結果として40℃になっていました。

 そこでここでは、蒸気配管を包む断熱材の表面に輻射熱の放射を予防する特殊な遮熱シートを貼り付けることで、放射熱を30℃まで下げることに成功しました。

【第五の事例】

 第五の事例は、第四の事例の続きになります。

 配管の遮熱を進めた結果、今度は操作バルブの熱さが気になる様になってしました。ただバルブは操作しますのでシートを貼り付けるわけにはいきません。

 そこでここでは、硬めの遮熱シートを加工してバルブのフタを作成し、操作バルブにかぶせることにしました。まさに『暑さの原因にフタをしよう』ですね。

 その結果、暑さの抜け道になっていたバルブの遮熱もできる様になりました。


 ちなみにこの遮熱シート、断熱性があるわけではないので、触ると熱いです。

 目印のマスキングテープを剥がし忘れると、熱せられた一番外のマスキングテープから輻射熱が放射され、遮熱効果が減りました。つまり遮熱シートの上には、工夫無しでは何も乗せる事ができないです。

 この辺りも注意が必要ですね!

【第六の事例】

 第六の事例は、乾燥機になります。

 乾燥機の周辺が暑いとのご相談から、その現場を見させて頂きました。サーモカメラで測定したところ、確かに装置の扉周りから熱があふれ出ている様子が確認できるのですが、よく確認すると、これは輻射熱が放射されているのではなく、隙間から50℃以上の温風が吹き出している状況でした。

 温風の理由は、異物混入を防ぐために、内部を加圧にしているためでした。

 そこでこの事例では、異物混入を防ぐために必要な吸気・排気条件を最適化し、過剰の温風漏れを回避する提案を行いました。

【第七の事例】

 第七の事例は、北国の建物でお伺いしたお話です。

 冬がとても寒くて暖房費が大変だからと、新築時、全ての窓ガラスを複層ガラスにされたそうですが、すると春先に窓際の部屋が暑くてたまらなくなり、早めに冷房を入れ始めなければならなくなったそうです。なぜこんなことになったのでしょうか? 

 これは、熱放射について見落としてしまったためなんです。では、詳しく考えてみましょう。 

 気象庁のデータベースから、冬(2月)春(5月)夏(8月)の平均気温、西面の平均日照量を計算します。次いで西面にブラインドが設置されている窓ガラス(10㎡)がある会議室を想定し、会議室の設定温度を冬22℃、春25℃、夏28℃で24時間稼働しているものとします。この時、窓から出入りする熱量を理論計算してみましょう。

 右の表はその計算結果です。数字がプラスの場合は外から会議室に熱が入ってきており、マイナスの場合は逆に会議室から外に熱が逃げていることを表しています。つまり熱の出入りがない“0”の状態が理想的な断熱状態となります。

 複層ガラスの得意な特性である断熱性だけをみると、どの季節でも常に、複層ガラスの方が熱の出入りが少ないことがわかります。特に寒い冬の効果は抜群に優れています。

 しかしながら日射(熱放射)の影響もまとめて考えてみるとどうでしょうか?例え窓にブラインドを設置したとしても、晴天日が多くなる春や夏の日射熱の影響は小さくなく、特に外気温と室温の温度差が小さくなる春や秋の季節は、複層ガラスの方が、むしろ窓ガラスから多くの熱を取り込んでしまい、空調を使用せざるを得ない状況になる可能性が高いことがわかります。イメージとしてはビニールハウスに入った感じでしょうか?

 冬は暖かくて心地よく、夏は内外いずれにしても暑いに変わりないのですが、春・秋のビニールハウスの中はとても暑くて居心地が悪い。そんな感じが一番似ているのかもしれません。だからこそ遮熱性があるLow-Eガラスを組み合わせたLow-E複層ガラスが、エコガラスとして好都合になるのです。

 この分析結果から、こちらのお客様にはLow-E複層ガラスへのサッシ交換か、特殊なLow-E型日射調整フィルムの施工をご提案し、ご導入頂きました。

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